メディカルアドバイス
  1.乳幼児難聴
  2.補聴器
  3.花粉症
  4.アレルギー疾患 減感作療法
  5.耳の手術 - 最近のトピックスから -
  6.めまい
  7.喉頭癌
  8.嚥下障害について
1. 乳幼児難聴
 聞こえの悪い状態を難聴といいます。補聴器をつけて訓練を受けなくてはいけない高度の難聴の子供は、1000人に1人くらいと言われています。高度の難聴の場合は、比較的容易に気づかれて、すぐ教育が行われていることが多いようです。でも軽度〜中等度の難聴の子供は、気づかれずにいることが多いようです。子供の難聴の発見の場としては、1歳半児健診、3歳児健診、最近では産科で行われる新生児聴覚スクリーニングなどがあります。しかしこのような健診で見つかる難聴の子供は、予想されている難聴の子供の数の半分以下です。難聴が見逃されていることがよくあります。子供の聞こえないことに気づくのは家族が多いようです。「聞こえが悪いかな?」と思われたら、迷わないで子供の聴力検査のできる耳鼻咽喉科医療機関に受診して下さい。聞こえが悪くても、ちゃんと早期に訓練すれば言葉も発達していきますので、不安に思われずに検査を受けられるのがいいと思われます。

アドバイス
富永耳鼻咽喉科医院

富永八千代
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2.補聴器
 「高い補聴器を買ったのに、雑音ばっかりで肝心の言葉がわからない。」「せっかく補聴器を買ってあげたのに、全然使ってくれない。」という言葉を時々耳にします。
補聴器がうまく使えない原因としては、
(1)補聴器がうまく調整されていない。(適切な補聴器でない。)
(2)難聴の要因が、補聴器で聞こえの改善が期待しにくい種類の難聴である。
(3)補聴器を使おうとする気がない。(補聴器を必要と感じていない。)
などが、考えられます。
眼鏡を合わせるのに視力検査が必要であるのと同じように、補聴器も難聴の程度や原因により適切な機種を選択し、装用する人の状況に合わせ調整する必要があります。新しく補聴器を購入する場合や、現在持っている補聴器が合わない場合には、かかりつけの耳鼻咽喉科医師にご相談ください。


アドバイス
(医)坪川医院

坪川 操
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3.花粉症
 毎年、春先に「くしゃみ・はなみず・はなづまり」を引き起こすスギ花粉症は年々増加しており、最近では国民病の1つとして考えられています。この増加する原因は大気汚染の影響や戦後に植林されたスギの木が成熟期をむかえたこと等が考えられています。
 はじめは「くしゃみ・はなみず」が主な症状ですが、次第に「はなづまり」が強くなります。この原因はスギ花粉が鼻内に入ると、鼻粘膜上でアレルギー反応が起き、ヒスタミン、ロイコトルエンなどの化学物質が遊離し、鼻内の神経や血管が刺激されるためです。
 日常生活の注意点は、スギ花粉の接触を避けることが重要です。外出時はマスクや眼鏡を使用したり、帰宅時には顔や手をよく洗いましょう。又、花粉情報を参考にして花粉の飛散の多い日には外出をひかえましょう。
 なお、このような対策をとっても症状が認められた場合は、専門医に相談して適切なアドバイスをうけてください。
アドバイス
(医)清水耳鼻咽喉科医院

清水元博
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4.アレルギー疾患 減感作療法
 アレルギー性疾患治療の第一歩は、その患者さんの原因(抗原)を見つけることから始まります。原因が分かったら、まずそれを遠ざけることが何よりも大事です。
症状を和らげる方法としては、お布団の掃除やマスクなどの花粉対策も大事ですが、
減感作療法といって、原因抗原のエキスを少しずつ、ごく薄い濃度から徐々に注射の量を増やしながら注射していって、抗原に対する抵抗力(免疫)をつける治療法があります。この治療は週1〜2回で計20〜30回、その後、効果を維持管理するため月1回となり、それを1〜2年くらい続けなければなりません。人によって個人差がありますから、最低一年くらいは注射が必要です。途中で止めると十分な効果が得られません。
時間もかかり根気がいりますが、注射を続けていると良くなって、快適な生活が出来るようになります。
抗原によって差がありますが、約70〜80%の確率が期待できる唯一の根本的治療法です。他には、原因が分からなくても効く非特異的減感作療法という注射による治療法もあります。
耳鼻咽喉科専門医の診察をおすすめします。

アドバイス
(医)カマカズ医院
 
 鎌数 清麿
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5.耳の手術 - 最近のトピックスから -
 福井医科大学附属病院耳鼻咽喉科では、従来から耳の手術として、慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎に対する鼓室形成術、耳硬化症に対するあぶみ骨手術、完全失聴者に対する人工内耳植え込み術、メニエール病に対する内リンパ嚢開放術、顔面神経麻痺に対する顔面神経管開放術などを行っています。手術によって病気を治癒させるだけでなく、聴力をできるだけ改善するように努力しています。
 以下に、最近のトピックスをお知らせします。

1.以前に受けた手術で耳のうしろに穴があいたままになっている方に対する手術

 30〜40年以上も前に中耳炎の手術を受けた結果、耳のうしろに穴があいたままになっている方がおられます。穴の大きさは人によって異なりますが、頭を洗う時に耳の中に水が入らないよう気をつけなければなりません。これが最もうっとうしい点なのですが、耳鼻咽喉科に通院していても、再手術によって穴をふさぐことが可能だということを教えてもらえることは稀のようです。福井医科大学ではこれまでに5人の方に手術を行い、大変喜ばれています。
 一例を挙げますと、23歳で中耳炎の手術を受けられた81歳の患者さんは、「将来寝たきりになった時、人に頭を洗ってもらうたびに迷惑をかけるから、耳のうしろの穴を閉じてもらうことができないか」と、開業医の先生に相談されました。幸い、私達の病院を紹介していただけましたので、穴を閉じることができました。
 もう一例は44歳の方で、8歳の時に中耳炎の手術を受け、耳のうしろに穴があいたままになってしまいました。お嫁に行くとき、そのことを隠さなければならなかったので、悲しくて泣きながらお嫁に行かれたそうです。昨年、めまいが起こったために私達の病院を訪れ、耳のうしろの穴をふさぐことができると説明したところ、大変感激されました。手術も無事終了しました。
 こういった耳のうしろに穴をあけたままにしておく手術は、現在では行われていません。昔は、中耳炎の手術というと、中耳根本術といって中耳腔を外耳道に広く開放する方法が主流でした。正常の外耳道は直径1cm、奥行き3cmの筒状の穴で、一番奥には鼓膜があります。中耳は鼓膜の奥にあって通常は見えません。中耳根本術では、外耳道の入り口を大きくし、そこから中耳全体がすべて見わたせるようにする方法です。この手術法が行われなくなった一番の理由は、耳垢が耳の奥にたまったままになってしまうため、一生の間、定期的に耳鼻咽喉科に通院して耳垢を取らなければならないからです。したがって、以前に中耳根本術を受けた方で、耳のうしろに穴があいたままになっている人には、耳のうしろの穴を閉じるだけでなく、広くなった耳の中をある程度狭くすることも合わせて行います。その方が耳垢の掃除にかかる手間が少なくなるからです。

2.慢性中耳炎などによる両耳の難聴があり、補聴器の性能に満足できない方を対象とした人工中耳埋め込み手術

 補聴器は外から入ってくる音を大きくする器械ですが、音質に満足できないと訴える方がおられます。人工中耳は耳の中に小さな器械を埋め込むことによって、中耳のあぶみ骨を直接振動させるというしくみになっていますので、補聴器よりも明瞭でハギレの良い音が入る、騒音がある中でも会話が聞き取りやすい、雑音が少ない、耳栓がずれる時に発声するピーというハウリング音が生じない、などの利点があります。
 また、補聴器では耳栓が必要ですが、耳栓を入れていることに対する不快感は、補聴器をつけているかぎり解決されません。人工中耳は耳栓が不要であることがもう一つの大きな利点です。人工中耳は耳掛け式の補聴器の形をした器械をただ耳に掛けるだけなので、つけていることを忘れてしまうくらい楽だと喜ばれています。
 ただし、中耳炎などの炎症をとるために、あらかじめ鼓膜の穴をふさいだり、中耳の中をきれいにする手術をしてからでないと人工中耳埋め込みができない場合もあります。

 以上のようなことで悩んでおられる方は、一度ご相談ください。


アドバイス
福井大学医学部耳鼻咽喉科

斎藤武久
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6.めまい
 めまいとは、身体を動かした時に、目と耳と足からの感覚がそれぞれ違っているため、それらをまとめる頭が混乱してしまい、身体を支えることが出来なくなることです。同時に身体に良くないことが起こっていることを身体に知らせるため、痛みの代わりに、吐き気や頭痛を起こします。めまいと一緒に難聴がある場合は、耳が原因のことが多いですが、不整脈や血圧の異常や低血糖や疲れや貧血でもめまいを起こすことがあります。
 また、生命に危険を及ぼすめまいでは小脳出血、梗塞や聴神経腫瘍があります。めまいには原因がたくさんあるので、診断をつけることが治療につながります。このため耳鼻咽喉科や内科の専門家を受診することが望まれます。 もし、原因が無いのにしつこいめまいに悩まされるときには、ストレッチ体操やコーヒーやドリンク剤、飲酒、タバコを控えたり、睡眠を十分に摂ってみてください。

アドバイス
(医)くろかわ医院
 
 黒川 泰資
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7.喉頭癌
 喉頭癌は声をつくる声門、及びその周辺にできる癌で、ほとんどが粘膜から生じる扁平上皮癌です。発生部位により声門癌、声門上癌、声門下癌に大きく分けられ、声門癌が約70%、声門上癌が約30%、声門下癌は5%以下となっています。
 症状としては声門癌はその多くが比較的早期から声がれを生じます。
 声門上癌は早期に声がれはなく、物を飲み込んだ 際に違和感を生じることがあります。声門に癌が及ぶと声がれが出現します。
 声門下癌は早期には無症状ですが、やはり声門に癌が及ぶと声がれが出現します。いずれも癌が進行すると呼吸困難や血痰、吐血などの症状もでます。
 治療は早期ならば手術せずに、放射線療法と抗ガン剤治療の組み合わせで約9割が治癒します。この場合声を失うことはありません。癌が進行している場合は手術が必要になります。ですからその他の癌と同様ですが、早期発見、早期治療が極めて重要です。
 喫煙や大量の飲酒は喉頭癌の発生率を増加させます。又、1日のたばこの平均本数×何年たばこを吸ったかで、もとめられる数値をブリンクマン指数といいますが、この指数が1200以上の人は喉頭癌になる確率が非常に高いといわれています。
 喉頭は内視鏡で胃カメラなどよりも簡単に診察、検査できます。声がれが治らない方や、愛煙家の方は気軽にお近くの耳鼻咽喉科診療所、病院を受診
していただくとよいでしょう。


アドバイス
福井大学医学部耳鼻咽喉科
 
 成田 憲彦
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8.嚥下障害について
  私たちは毎日無意識に食べ物を飲み込んでいます。しかし、脳梗塞や神経の病気、耳鼻科領域の腫瘍などになると滑らかに食物を口からのどに送り込み、反射を利用してゴクンと食道に飲み込むことが難しくなったり、時には誤って気管に入ってムセてしまったりします。このような状態を嚥下障害といいます。
 飲み込みにくかったりムセてしまうような嚥下障害が続くと栄養状態が悪くなってしまうので、安定して食べられるように治療する必要があります。
 治療としては、食事の内容や食べ方を調節することや、少しずつリハビリテーションを行って機能回復することが中心になります。しかし、色々な治療をしてもうまく食べられない人には、私たち耳鼻咽喉科医は手術治療によって嚥下障害を治すことができます。
 嚥下障害には障害されている部位や程度に個人差が大きいので、なるべく早く耳鼻咽喉科専門医の診断を受けることが大切です。

アドバイス
福井県済生会病院耳鼻咽喉科
 
 津田 豪太

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