特別講演会

公開講演会 −耳の日にちなんで−(2005.3.5)
 


公開講演会 −耳の日にちなんで−

日時
平成17年 3月 5日(土) 15:00〜16:30
会場 福井新聞社 風の森ホール

テーマ あなたの耳は大丈夫?
 −家族みんなのための難聴予防と対処法−
演 者 福井大学医学部耳鼻咽喉科  助教授 斎藤武久
主 催 日本耳鼻咽喉科学会福井県地方部会
後 援 福井新聞社
 小児から高齢者まで、よく見られる耳の疾患について、日頃からの注意点と予防法、罹患時の対処法について詳しく解説した。
1.小児に多い疾患:急性中耳炎と滲出性中耳炎
 乳幼児は耳が痛いことを口にできないので、機嫌が悪くて発熱があり、耳によく手をやる場合は、急性中耳炎を疑う。夜間に発症した時は、解熱鎮痛剤の座薬を使用し、翌日耳鼻咽喉科へ連れて行けば良い。治療によって急性中耳炎が治癒しても、滲出性中耳炎に移行することがあるので、注意が必要である。
 幼小児は難聴を自覚できないので、呼んでも返事をしないとか、テレビの音を大きくするようになったなど、難聴を疑ったら専門医を受診する。滲出性中耳炎はマクロライド系抗生剤の少量長期投与によって、以前より治癒しやすくなった。また、滲出性中耳炎を放置すると真珠腫性中耳炎に移行することがあるので、注意が必要である。
2.成人にみられる疾患:耳垢栓塞、鼓膜外傷、音響外傷や騒音性難聴
 耳垢は市販されている吸引器具(商品名:吸いっこ耳ちゃん)では粉状の耳垢でもわずかしか除去できず、膜状や軟らかい耳垢は全く除去できない。耳かきを使用する場合の注意として、子供が近くにいる時は危険なので耳掃除をしない、ボーっとした状態で耳かきを使っていると鼓膜損傷を起こすことがあるので、注意が必要である。
  騒音性職場に勤務する人は、耳栓をすることで難聴を予防すべきである。ロックなどのコンサート会場ではスピーカーの近くの席を避ける。カラオケルームではボリュームを必要以上に大きくしない。ヘッドホンやイヤホンで音楽を聞く場合は適度な音量で聞く。以上の注意を守れば、音による難聴を予防できることを強調した。
3. 高齢者にみられる疾患:老人性難聴、耳垢栓塞、滲出性中耳炎
 難聴を自覚したら、歳のせいにしないこと。そして、すぐに補聴器販売店へ行くのではなく、まず耳鼻咽喉科で治せる疾患がないか診察を受けること。耳垢栓塞や滲出性中耳炎ならば、治療によって悪化する前の聴力に回復する。
 補聴器を購入しようと考えた時は、まず耳鼻咽喉科で聴力測定(純音聴力検査と語音聴力検査)を受け、補聴器が有効かどうかを調べてもらう。有効と判定されたら信頼できる補聴器販売店を紹介してもらうことが重要である。金額や見た目で決めるのではなく、使いやすさを優先することも強調した。
 慢性中耳炎がある場合、補聴器を装用をしていると、耳栓が外耳道を閉鎖することによって細菌感染や真菌感染による炎症の反復と、それに基づく骨導低下を促進することになるので、鼓室形成術を受けておく方が良い。手術によって聴力が改善し、補聴器が不要になる症例もあるし、補聴器が使いやすくなることも多いと強調した。
 最後に、難聴の高齢者と会話する場合のコツについて解説した。相手に会話が始まることを教えてから、正面を向いてなるべく近い距離で、やや大きめの声で、わかりやすい言葉で、ゆっくり、繰り返し話してあげると理解しやすい。
  up